ふと目に入った本。一気に読んでしまった…
まず興味深かったのは、第2章の昆虫学。「女王アリと娘の関係」は衝撃的で…『交尾を終えメスは地上に降り立つと、単独で巣穴を掘って女王として卵を産み始める』っていう単独で行動し始めるっていうのもすごいんだけども、『女王アリはオスとメスを産み分け、働きアリは全てメス。しかもそのメス(娘たち)は女王アリからの指令(フェロモン等)によって、不妊の状態にされている』っていう衝撃たるや。自分の娘たちを不妊状態にするて…で、女王アリが死ぬと、残ったアリが働くのをやめることが多く、その時は巣ごと滅んでしまうことがほとんど、とのこと。
そんな知らなかった昆虫の世界やら、いろんな専門家の考える「不倫」についてを読み続けていたのですけれども、結局のところ私が一番印象深かったのは「終章」でした。筆者のまとめみたいな?そこに実際に不倫の恋に落ちた例がいくつか挙げられていました。
私はそれを読んで「あぁ…仕方がないもんなのだ、不倫てのは」と思ってしまったのが正直なところで…筆者もとある不倫の一例に対して「私はふたりの関係が誰にも知られることなく続いて欲しいと願わざるを得なかった。」と述べています。
結局のところ、人は誰でも不倫をする可能性があると筆者同様、私もそう思うって言うか…不倫する人を責められないな、と。「あぁ…そういうもんなんだ、避けられない運命みたいなもんなんだ」とさえ思ってしまいました。よく「独身時代にこの人と出会えばよかった!」みたいなことを聞いたこともありますが、結婚した後だからこそ気づくことっていうか、独身時代だったら恋をしなかったんじゃないかな、とさえ思うのが不倫なんじゃないかと。配偶者を裏切ろうとして無理やりする恋愛は最低だと思うけど、結婚後に「出会ってしまった」人ってうのは、もうそれは運命としか言いようがないし、美化されても仕方がない。だからそれが不倫になっちゃうのかなぁ。難しい。
ありがたいことに、私は今の生活に十分満足させてもらっている。でも、もしかしたら夫は満足していないかもしれないし、もしかしたら誰かと「出会ってしまっている」かもしれない。ただ、この本を読んだことによって、私は「今後起きるかもしれない」夫を含む他人様の不倫問題には、寛容な気持ちで向かい合えそうな気がします。
私自身は不倫を肯定も否定もしない。だが、それは「そこにある事実」である。
この筆者の言葉、私も同感です。不倫を肯定する気はないが、否定する気にもなれなくなった…と言うか。不倫行為に対しては第三者が口だしすることじゃないよなぁ…と改めて感じました。かと言って、もし私が「出会ってしまった」としても、それは正当化せずにいたいと思うし、何よりリスクなんぞ取りたくないっていうのが正直なところなんですけどね。
ここ最近、借りてきて読んだ本の中でこうして感想を書きたいと思える本に出会っていなかったのですが、書きたくなったのが不倫の本っていうのも、何だか複雑な気分…とは言え、もうちょっと不倫に関する本を読んで価値観を広げてみたいなぁと思いました。道徳的なことは抜きにして、不倫の解説ってのは面白かったですし。男性にも女性にも、既婚の方にも独身の方にも私はおススメしたいなぁと思える本でした。