40過ぎて今更ですけども「性」について改めて向き合うことができた1冊『感染症医が教える性の話』岩田健太郎【日本人会図書室で借りて読んだ本】

シンガポール

はい、コチラ、題名だけで選んで借りてきた本です。何気なく図書室の本棚をザーーっと見ていて、バチコーーーン!って目の合った本です。

今更…そう、40を過ぎた私には「今更感が満載」だと思っていながらも思わず借りてた本のですが、これは読んで良かった!新しい発見やアップデートされた知識が多々。それに、こういう性教育をしている人がいるっていう事実も、なんだか嬉しい。(この記事のために著者について調べていたら、あのクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」に派遣されていた方で、いろいろあったんですね…私ってば全然知らなった)

さて、感染症医である岩田健太郎さんは『性教育は「生き延びるためのスキル」を教えるために存在している』と考えていらっしゃるようです。本の裏表紙にも〔性について正しい知識を持つことは 他の学びと同様「未来を生き抜くために」大切なこと。感染症医として、あるいはその立場を越えて 性にまつわる考え方を多角的に案内する。〕とあり、2時間目(第2章)【性教育にコンドームが必要な理由】の中で、こう述べております。

「生き延びるための技術」を教えるためには、具体的な方法、技術を教えなければならない。シートベルトという概念を教えても、その着け方を教えなければ、意味がないでしょ。コンドームという言葉を聞いても、それがどういうもので、どのように用いるかがわからなければ、「生き延びるための」教育にはなりえない。

それだけじゃない。コンドームの着け方を教えるだけでも、不十分だ。それをちゃんとセックスの時には着用する必要を、その理由を教えなければならない。

このあと「まだある。」と続くんですけどね…まさに、そうですよねぇ。(シートベルトでの例えが分かりやすくて妙に驚いてしもた私。)

「寝た子を起こすな」理論もわかる気がするけど、やはり知識は必要だし、リスクとか、筆者の言う「生き延びるための技術」としての性教育って本当に大切だな、と思います。素晴らしい、素晴らしすぎるー!

そして筆者は3時間目(第3章)の小見出し【恋愛 自分も他人も大切に考える】の中で、知っていることとできること、できることとやっていることには差がある、として、では、どうやったら知識を態度に、態度を実践に転することができるのか、について以下のように言っています。

それはセックスの相手への配慮、自分の体に対する配慮、そしてセックスそのものへの敬意といった、感情面の問題が大きいと思う。コンドームの知識だけでなく、「相手を傷つけたり苦しめたくない」という恋愛感情のもたらす配慮はコンドームの着用を促す。「私の健康を損ないたくない」という感情も大事だ。「セックスは素晴らしいものだから、それが原因でよくないことや苦痛が生じるのはいやだ」という感情でもよい。とにかく、これは知識ではなくて感情的な問題になる。

これはグッとくるものがありましたねぇ…自分も相手も大切にする…これって単純なことだけど、なかなかできないことなのかな、と。相手を大切にすることって良く考えるけど、そうよ、自分のことも大切にしなきゃいけないよなぁ。

それに正直セックスそのものへの敬意って、考えたこともなかったーーー!こうして言語化されて言われてみればわかるのに、今まで考えたことなかったなんて、めっちゃ恥ずかしーー!「性」ってのは、こういう感情面の問題が切り離せないものであるってことに、改めて気づかされた40代専業主婦駐妻なのであります。それにしても「敬意」って言葉、いいな。

あ…私のことは置いといて。この感情的な問題に関して、教育で教えることができるのか…筆者は「できない、でもできる」として、「相矛盾するこの難題」を、最終章にて語っております。

あと、言われてみれば…と不思議に思ったこと。

人間の発情と排卵は同期していないから、子どもを産むという観点からは、効率的なやり方ではない。人間は生物学的に、セックスが「無駄打ち」になりやすい生き物だ。(途中省略)

でも、逆に言えば発情期がない(排卵日が正確にわからない)おかげで、人間は日常的にセックスを楽しむことができる。男性は、「今日は排卵日じゃないから、セックスはしませんよ」と突っぱねられることはない。女性のほうも、排卵日でない日にセックスを楽しむことはできる。子どもができる可能性がないときでも、(純粋に快楽を目的とした)セックスが可能になった、というのは一種の「進化」と言えるのかもしれない。

これは確かに、なんとも不思議な人間の「奇妙な進化」だな、と…「無駄打ちになりやすい」だの「人間の発情と排卵は同期していない」なんて、こういう「言われてみれば」みたいな話題は私にとって、まさに読書の醍醐味。この本に出会わなかったら考えもしなかったかも。そういう点で、この本に出会って良かったなーと、しみじみ。文体も語り口調なところが所々あることで堅苦しさを感じることなく、大変読みやすかったです。是非とも他の本も検索してみなくては!

毎度まとまりのない文章ですけども、最後に。

筆者が最終章で「絶対恋愛」について提案しています。私はこの「絶対恋愛」を大切にしながら、夫と添い遂げたいと思ったのであります。相対化されない、私だけの「絶対恋愛」で。

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