題名で借りました。見て見ぬ振りができない、その場を通り過ぎることのできないインパクト大の題名。こういう題名の本、大好き!
世の中、そして人生が、思い通りにならないことが多すぎて多すぎて、不機嫌にならざるを得ない日常。思い通りにならないなんて当たり前、それはわかっている…わかっているし、そして何より不機嫌が罪であるということもまぎれもない真実だと思います。激しく同意します、激同。はげどう。
「不機嫌」って自分のことを棚に上げてしまいがちな部分だと思います。自分が不機嫌なときは案外気づかなくて、相手が不機嫌な時はすーーーーっごく気になる。著者も本書の中で仏教の考え方を紹介していらっしゃいますけども、やっぱり不機嫌こそ煩悩。いつでも煩悩。always煩悩。人生煩悩。諸行無常、一切皆苦…仏教偉大。仏教の思想に触れるようになって、自分の不機嫌イライラにはかなり気づくようになって、以前よりはコントロールしやすくなってはいますが…改めてこの本を読んで、自分のご機嫌は自分でとってコントロールすることがとても大事だということに気づかされました。
本の中に上機嫌を保つ習慣がいくつか紹介されていますが、私が自然とやっていたのは「音楽」が大きい気がします。イライラしている時というよりは、テンションあげるためにかける感じ。あとは「呼吸」ですね。不機嫌イライラモードの時にはびっくりするほど呼吸が浅い。浅いが過ぎる。呼吸ってすごく大事だと思います。イライラしてるなって思った時に、深呼吸を何回かするだけで、その数秒で驚くほどイライラのピークは過ぎていて。すごく簡単な不機嫌をコントロールできる方法だと思います。
では、いくつか印象的だったところを本文より引用させていただきます。説教ほど危険なものはないという著者ですが、叱るときこそユーモアを、とおススメしています。授業で使うプリントを忘れた学生に向かって
「いや、まあ、授業におけるプリントって言うのは、水泳における水着だからね。水着無しで平気な人はもちろんいるんだけども、周りが居たたまれないからさ」
the シンプル。こういうジョーク、思いつけばいいんですけども…自分が教員の頃に、こんな気の利いたジョーク言えなかった…余裕もないし、語彙力もないし。気の利いたジョークを言えるというのは全体の空気をよくするし、説教になれば不機嫌が移動していくだけ。不機嫌イライラモードの時の言葉は自分の立場も危うくなるということを、意識しないといけないな、と思いました。
私には小2息子と小6娘がいますが、特に小6娘、難しい時期です。ご本人さんも「反抗期だから」と自らと言っております。息子も自分の思い通りにならない、なっていない時には人のせいにしたり、王様のように振舞ったり…こういう不機嫌っていつまで許されるのかな、と考えてしまいます。(子供が自然と気づくか、親が判断することだと思いますけども)言葉の話せない、自分で不機嫌を解決できない赤ちゃんならまだしも…何をどう感じているのか、どうしたいのかを言葉で表現できるようになった年代の場合、根気強く言葉にできるように訓練したいなと思っています。不機嫌な態度をとっていれば、相手(主に私)が解決してくれるというのはお互いに苦しいと思うので。普段からこんな風に感じていた私でしたが
自らの言葉で話せるようになり、自分の不機嫌の原因を自分で解消することができるだけ成熟したならば、不機嫌を相手にダイレクトに伝え、物事を動かそうとするべきではありません。
と、著者も太字で言っていました。また「不機嫌で許されるのはせいぜい小学生くらいまでだと思っています」とも言っています。もちろん個人差がありますし、うまく言葉に言い表せない場合もあると思います。でも、これは訓練と言うか繰り返しで相手に伝わるようになるんじゃないかな、と。もちろん自分も何とも言えないイライラに侵されちゃうことがあるのも否定できないし、子供に対して分かりやすく伝えたいなと思います。
特に現代はインターネット社会。誰でもいつでも不機嫌をつぶやけてしまって。誰かの不機嫌に自分は否が応でも反応してしまって無駄に苦しんでるのに、自分の不機嫌は簡単に発信しちゃう…そんな人にはなりたくないし、子供たちにもなって欲しくないな、と願います。娘はコレに振り回されてるんじゃないかなぁと日々思います。Instagramに「優等生のnちゃんばっかり見ないで、私も見てよ」と…こじらせすぎでしょ。
「インターネットは不機嫌な無免許運転者だらけ」という著書の見出しにも大きく頷くしかありませんでした。自動車を運転するためには、実技・筆記の試験を受けて合格する必要がある。それに対してSNSはどうか…
免許どころか運転講習すらないのに、誰もが無責任に自分の気分を発信できてしまう。私はこれを非常におそろしいことだと思っています。
みんながみんな、知らず知らずのうちに複雑な首都高速に乗っかってしまっている。SNSでの発信が原因で職を失った人や、他人に発言に傷ついて自殺する人もいるような状況なのに「いつか何かの拍子に加害者/被害者になるかもしれない」という発想が希薄な人が多いように見受けられます。
まさに、これ。今後、もっともっとインターネット上の自分の発言には責任を持とうと改めて思います。そして私たちは自分たちの責任で利用しているんだということをハッキリと自覚すること、自覚していない人の不機嫌をうまく避けて通る能力を身につけること、これができないと正しく利用できず、結局「不機嫌」の元をどんどん生み出してしまうのではないかと恐ろしくなりました。
最後に。著者によりますと、この本を読んだことで「上機嫌クラブ」の一員になったんだそうです。わーい!(喜)私は私のご機嫌をとり、私は私を受け入れて、上手に不機嫌(煩悩)をコントロールして、私のご機嫌がみんなのご機嫌に繋がるようにしたいなぁと。
あと、他の本での一説なんですが「不機嫌な人は幼稚に見える」…今ならこの言葉がますます理解できます。嫌だ…幼稚な人だと思われたくない…でも人生いろいろだもの、人間だもの。とにかく私の不機嫌で誰かを不機嫌にすることのない人生にしよう、そうしよう。そう思える本に出会えてよかったです。